栽培漁業

海で生きる動物達は卵からかえって大人に育つのは本当に一握りでほとんどは、小さいうちに食べられたりして死んでしまいます。
そこで養殖をして、ある程度大きくなって天敵が少なくなるまで他の天敵がいない状態で成長させて、放流するのが、栽培漁業です。

アワビのほかにも、福井県では、ヒラメも育成、放流しています。

アワビの場合は、殻の長さを殻長といいますが、15ミリになるまで1年間は、栽培漁業センターで育てます。
これを種苗生産と呼んでいます。
最初の5ミリの大きさになるまでは、藻を食べさせて大きくします。
5ミリを超えると、配合飼料を食べさせて大きく育てます。

中間育成施設(しせつ)に出荷されるのは、15ミリを超えるようになったときです。
大体11月頃になると、栽培漁業センターから、20万個ほど運ばれてきます。
中間育成はここで行われて、放流するまで育てられます。
いけすには絶えず海水が流れるしくみになっており、放流に向けて、アワビが自然の海の環境に慣れるようにしています。
ここで使われるいけすですが、長方形で縦2メートル、横1メートルで、高さが1メートルです。
このいけすに、3000個の稚貝を入れて育てます。半年をかけて、配合飼料を与えて、3センチになり、外敵に狙われる危険性がずいぶん減ったところで、放流の準備のため、1つづつ剥がしていきます。
大体15から18万個が毎年4月ごろに放流されます。
海女さんがアワビが生息しやすい場所を選んで放ちますが、このとき、カキの殻に稚貝を付けてばら撒いて放流します。

ここでいったん、自然の中に帰ったアワビは自力で大きくなるしか仕方ないのかと思いきや、ちゃんとえさのお世話もしているんですよ。コンクリートの魚礁を鎮めて、海草を育成して、アワビの食べるものと、住むところを提供しているんです。これを管理と呼んでいます。

放流後、4.5年経つと、アワビは大きく成長して、10センチぐらいにまで大きくなって、とってもいい大きさを超えます。
ここでやっと海女さんたちが取るわけですが、この10センチを下回るものは海に帰さなければならないというルールがあります。
また漁獲期間は11月16日から来年の9月14日の10ヶ月間と決めているそうです。

取れるアワビの65パーセントが栽培漁業のアワビで、全体で取れる量が15トンですから、10トンぐらいは養殖で育ったものだっていうことですね。
養殖で放流をしていなかったら、あっという間にアワビを撮り尽くしてしまって絶滅してしまうことになってしまいます。